(記者)
リニアの絡みでちょっと別の観点からお聞きしたいんですけれども、大阪府のですね、吉村知事はですね、以前にリニアの開業延期を踏まえてですね、リニアは国家戦略だということで、一つの県の反対によってそれが駄目になるっていうことがあってはならないというようなことをおっしゃってるんですけども、川勝知事は国策とその地域主権と言いますか、地域分権との関係性というのをどう捉えていらっしゃるのかというのを一点お聞きしたい。
(知事)
国策というのは一つじゃありませんからね。南アルプスをユネスコエコパークにするというのも、環境省などが、国の政策として進められたことでありますよね。ですから、河川をきちっと維持するっていうのも国策でもあります。ですから、このリニアだけが国策だというのはですね、違うと。それからまた、70万、もっと言えば今後、志太榛原中東遠の人たちのですね、命がかかっている。それをこう、どう考えてらっしゃるのかっていうことを言わないままですね、仮に大阪のその70万、80万という、これは、今、大阪都構想でいろいろ言われている一つの区が全部滅びるっていうか、生きていけなくなるような、淀川の水が使えないというようなことですね。そうなるとですね、どうですかっていうふうに言った時に、同じ問題です。ですから、もう少し丁寧に言ってもらう必要があったと。ただしですね、リニアはもう、何も、何て言いますか、東京から名古屋にまず作ってそれから大阪に、というですね、これはあの、人が決めたものですから、変えられるわけですね。なぜそう決まったかというと、大阪、名古屋で、それなりの営業利益を上げて、それを投資すると。大阪と名古屋の間に。そういういわばビジネスプランだったわけです。しかし、そのビジネスプランに3兆円の財投がありましたので、早まることになったわけですが。しかしながら、大阪まで結びたいということであればですね、大阪からやればいいじゃないかというように、そこでリーダーシップを発揮されればよろしいんじゃないかと。だけど大阪の場所決まってますか、ええ。中にはですね、関空と結びつけたほうがいいだとかですね、言ってる方もいらっしゃいます。ですから、あるいは京都市長さんは、京都市を通せとおっしゃってるわけですね。ですから、遅れるというよりも、まず決めることがありますでしょうと。だから大阪から奈良を経て、三重を経て、名古屋へってことになってますけれども、それについてもですね、一時期、三重県の知事さんと話をしてここだっておっしゃったけれども、それが実は私にひそかに漏らされたってことが後から分かりました。言い換えると、正式にはまだ言えないような状況だったということで、そんなことを約束した覚えは、言った覚えはないというですね、そういうことを盛んに言われてもうびっくりしましたけれども、そういうところをですね、きちっとやるっていう仕事もあります。ですから、よく言いますけど、受験勉強でですね、一番苦手なところを集中的にやって全体を上げるのか、そこはもう0点でもいいから、あとのところ全部100点取るつもりでやってですね。その間にその苦手なところについて、少しでも上げられるように努力するというやり方がありますから、これはあの、人が決めるものですから、しかも決める決定権を持っているお1人で、有力な知事さんですからね。自分の足元をまず決めろというふうに申し上げたいですね。
(記者)
大阪府の吉村知事は、静岡県は自然環境の問題で反対してるというふうにも言ってるんですけれども、その大井川水の問題については深く言及されてなくてですね、水問題についてどこまで他県の理解が進んでるのかなっていうところをちょっと疑問に感じる部分あるんですが、今、現時点で知事として、川勝知事としては、どの程度他県に理解が浸透してると思われていますか。
(知事)
実際ね、その通りなんですよ。水の問題なんですね。アルファアンドオメガなんです。これがすべてなわけです、これが今、危殆に瀕しているということで、これ、知らせなくちゃならない。どこで知らせるんですか。有識者会議でしょう。これは国がやっているわけですから、これをどうして情報をですね、一部の静岡県の関係者だとか、一部の県議だとか、そういうふうにするんですかと。期成同盟会は大阪からですね、奈良、三重、そして愛知から岐阜、長野、山梨、神奈川、東京全部入ってるわけですから、その人たちにですね、今、何が問題になってるのかをどうして国交省は知らせようとしないのか、というのはですね、極めておかしいと。ですから私大阪府知事さんにですね、この有識者会議について、本当に事務官でもいいから出てきていただいて、見ていてほしいですよ。だから情報をですね、制限するなと。1人占めもするなと。全部公表していただきたいというのが、その、国の本来の役割だと思っておりますので、吉村知事も何が問題なのかっていうことをですね、踏まえないで勝手に即断をするとですね、この間の、ワクチンの話になることになっちゃうわけです。
(記者)
ごめんなさい、最後にもう一点だけすみません。その水問題ということで言うと、河川法の関係でですね、これ一部報道でもありましたけれどもその河川法の、今、静岡県が河川管理者になってますけども、その河川管理者を国に権限を返上するというか、国に移して解決しようっていうような声も、なんか一部から出てきてるようなんですけども、それについては地域主権の観点も踏まえましてどうお考えでしょうか。
(知事)
そういう乱暴なことをするとですね、もっと大きな摩擦になると思いますね。きっちりと話し合いで、納得ずくめでやってくださいと。科学者、技術者がしっかり議論しているので、それを尊重するというふうに利水者の方達もおっしゃってるわけですから、科学技術に関わることは、秘密にすることは全くありません。イデオロギーじゃありませんから。ですから、彼らは政策決定論者じゃないんですね、科学的、技術的にいろいろと議論されているということでですね、そこを踏まえないで、いきなり法律で、いっぺんにこの決定権を奪ってしまおうということになりますと、これは火に油を注ぐようなもんだというふうに思います。
(記者)
ありがとうございます。
(記者)
リニアの関係でお伺いしたいんですけれども、今日一部のメディアが報じましたけれども、岐阜県御嵩町でですね、リニア中央新幹線のトンネル工事で出る残土の恒久処分場について、JR東海は町の土地に、残土の恒久処分場を設置することを打診していたんですけども、町は口頭で拒否する意向を伝えたということが分かったということで、その理由としては遮水シートが危険だとして設置は受け入れられないと。で、町長は、それ以外の有効な提案があれば考えるに値するが、その別の提案はないので、今、考えられないと。さらにこれも有名な話なんですけども、御嵩町は1990年代に、産業廃棄物処分場の受け入れでかなりもめまして、住民投票で拒否した。加えて町長が襲撃を受ける、殺人未遂事件も起きていまして、その当時、もめたのは遮水シートの利用の危険性が問題視されたということで、町長はそれを踏まえて、JR側に本を読んで町の歴史をよく調べてくれと求めたことが明らかになっています。これまで、ちょっと前置きが長くなったんですけども、これまで静岡県の自治体として反対をしていまして、その他反対する人たちは、市民団体だとか、土地で反対する一般人が多かったと思うんですけども、今回その、静岡県以外でも自治体単位でリニア中央新幹線の計画に反対する自治体が今回出てきたということで、それについて知事の受け止めをちょっとお伺いしたいんですけども。
(知事)
ですから今、水の問題が一番大きいっていうこと言いました。これは水量と水質の問題があります。生態系の問題があります。もう一つは残土処理の問題ですね。これ47項目の中に重要項目として入ってるわけです。だから残土の問題はですね、もちろん重金属が出てくる場合があります。で、これを処理しなくちゃいけないと。その可能性や、南アルプスの西側の方に、かなりそういう重金属があるというふうにも言われているわけですね。この間の中部横断自動車でもヒ素が出ました。これはそれを処理するのは、相当に大きな費用もかかるしですね、負担がかかります。こうしたもののうち、その残土処理について、御嵩町の方でそういう話が出たってのは、もっともなことだと思いますね。ですから声を上げてほしいですね。今、山梨県の方でも水枯れが起こってしまった後ですね、応諾した結果こうなってしまったということで泣き寝入りしていらっしゃるところがありますけれども、そういうような方たちは、やっぱり静岡県の県全体でやってるようなところは、まだないのでね。まず岐阜県知事さん、あるいは山梨県知事さん、山梨県知事さんは水問題について極めて深い理解を示してくださってますけれども、岐阜県もですね、実は清流の県です。ですから、水を大事にされておられる。そういうところの一つの重要な町が、声を上げたということについてはですね、ぜひ尊重していただきたいと思いますね。もう人々の幸せを作るためのインフラですから。ですから、それと経済効率、あるいは経済的利益というよりもですね、天秤にかけるという、そういう形で、一方を押し切ってしまうということは避けたほうがいいというのが私の考えです。
(記者)
ちょっと今の点に関連して伺いたいんですけれども、岐阜県、県として、JR東海と交渉されたらいかがかというお話、静岡県内の大井川流域10市町とですね、個別に交渉するのではなくて、県が一本的化してその窓口をするようにということで、2018年、2019年、2020年とやっていらっしゃったと思うんですけれども、窓口を一本化することの良さ、どういうメリットがあったのか、ちょっとそこのところの意義をもう一度、もう一度というか、おっしゃっていただけますでしょうか。
(知事)
これは、勝手に一本化するんじゃなくて、議論していた結果、一本化しようということになったんですね。広く会議を興してそれぞれの市町、ご議論があってですね、一方は地下水、一方は水道、一方は表流水、一方は農業用水、様々なものがあります。これをバラバラに言っても、相手は何しろ、国策を標榜したJR東海で、必ずしも住民の意見に耳を傾けてきた経過も、あまり見られないということになりますとですね、議論を一種、凝集するところ、一本化した方が、JR東海さんにしっかりとものを言っていただけるってことで、なったわけですね。ですから、様々な利害関係者があったときにですね、それを一本化してやると分断工作が一時期あったじゃないですか、JR東海さんの方でね。上手に乗せられた人もいましたでしょ。そういうふうなことが起こるわけですね。これを見ながらやっぱり一本化して欲しいということになったわけです。あれはもう大失敗です。分断工作に乗ったのはね。トンネルは掘れないんじゃないですか、静岡市。だって、残土を自分で処理すると言ってるわけでしょう。残土どこで処理するのですか。これは御嵩町のあれですけど。三ツ峰落合線のトンネルの残土は駿河区で3ヶ所選んだというのが我々の知ってるところですが、仮置き場だっていうんです。駿河区はですね、東海道線の南でしょう。南っていうか海側ですね。そうすると、この井川何とか線とか、こういうとこ通らないとですね、駿河区に入れないでしょう。そこに100台も毎日ダンプカーがですね、5キロ分の片側1車線ね、トンネルから出てくる残土を運ぶっていうことは実質ですね、できない相談ですね。だから残土処理のことが、ちゃんと考えられないままああいうことが起こったっていうことはですね、本当にJR東海から見たらおかしなこと言われると言ってましたから、金子さんが。だけど静岡市がそう言うからしょうがないとおっしゃったけど、静岡市に分断工作を持っていったのはどなたですかということですね。こうしたですね、不幸が結果的に井川に対して希望だけ与えて失望に終わってしまうということになりかねなくてですね。もうこれはもう学ぶべき教訓ですね。みんな力を合わせれば、1足す1が3になるということでですね、私どもはしかし、勝手にやりませんね。必ずご報告を申し上げ、意見を承ってやるという、いうわけで、後ろには80万、あるいは70万のですね、関係者がいらっしゃいますよということを申し上げつつやってるということで、そういうメリットがあったということです。 |